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「市民の財産としての保育施設」(2023年2月10日記者会見)

  • hoikanakyoto
  • 2023年3月6日
  • 読了時間: 6分

更新日:2023年3月10日

(*以下は、京都市内の保育園で園長をなさっている方が話された内容です)


保護者が安心·安全に預けられて子供たちが健やかに育てられる、「財産としての施設を、私たち市民が守り、育てる」ということが大切であると思いますし、それを「市民の声」として京都市には大切にしていただきたいと思っています。各保育園・保育施設も、それらの期待に十分に応えられるように、京都市行政には支えていただきたいなと思いますし、この宣言文のように「ただの子守りではない、人員取り換え可能な単純職ではない」といわれるような、「エッセンシャル·ワーカー」といわれるような、そういう期待に添いながら、現場でも背筋を伸ばしながら「一人ひとりの子どもたちが大切にされる適切な保育環境」をつくっていきたいと思っております。


2020年4月5月の緊急事態宣言時、小中高校などは休校しましたが、保育園·保育施設は休園せずに開園してきました。保護者の方も「保育は社会の"要石"」とおっしゃってくださっているように、やはり「"社会資源"として保育施設があることが、社会を動かす一つとして大切なこと」ということを皆さん経験されたと思いますし、保育園としてもそれを支えるべく努力してきました。そういうことを学んできた、この数年間やと思います。


(ひとなる書房、2023年)

また、昨年から、虐待や暴行の報道等、保育現場でも色々な話題が出ています。もちろん、これらはあってはならないことですが、その裏にある保育士配置の最低基準が、いま全国でも話題になっています。京都市の市議会からも、保育士配置の最低基準の底上げに対する意見書が出されました。『せめてもう1人保育士を』という本も出版され、国会でも議論がなされている中です。そんな中で、いま京都市の行政の進めていることはどう考えたらいいのかっていうことは、かなり悩ませていただいてます。




加えて、いま、インフルエンザが流行っています。京都市でも警報が出ました。そんな中で、各保育園でも、子どもたちがインフルエンザになったり、職員もインフルエンザになる。先ほどの話にもありましたが、職員が1人、2人休んだだけで、シフトが回りません。園長·主任も保育に入って、なんとかやりくりをして日々を回している状態。本当にギリギリの中です。ちょっと何かあったらすぐに現場は混乱してしまうんです。それってどうなんですかね。やっぱり保育園·保育施設は「安全基地」としてあるべきです。何度も言うように、学んできたことを活かすためにはもっと「豊かな保育基準」がなければいけない。「やっぱりそういうところ保育基準を支えていかないといけない」ということを、いま、国でも話されている。「あまりにも脆弱な保育士の配置基準をどうにかしていかなければならない」、「この配置基準はあまりにもないでしょう」ということで、全国でも国会でも話されている。そんな中で、この京都市の「逆行」とも思えるような政策に対しては、現場としても困っています。



うちの園は140人の子どもたちの定員があって、40人近い職員がいます。今年度11月の補正予算を立てたんですが、1250万円の積立金の取り崩しを余儀なくされています。この積立金は本来、施設の改修·運営を継続していくためにしている積立てであって、1250万円もつぶしてやっていくようなことがこれから数年続けばどうなっていくか、運営する側として本当に不安だらけです。だけど議会からは、「その積立金をつぶしてなんとかやりなさい」という声も聞こえてきます。これはどう考えていいのか。保育園が安心して継続していけるとはどういう状況か。こういったことを、皆さんとも一緒に考えていかなければならない。一緒に考えて、より良くしていきたいと思っています。


また、新しい制度では、昇給財源が11年目までしか示されていません。「保育園は社会の縮図」とも言われますけれども、そこには若い職員·中堅の職員·ベテランの職員、男性も女性もいて、その中で子どもたちは育っていきます。1歳児がたとえば物の取り合いをしているとき、すぐに止めるのは簡単ですが、そうじゃなくて、そのときの子どもの機嫌を見たり、「もうちょっと見てたら仲直りできるかな」と待ってみたり、ベテランの職員は若い職員に「こういうふうにしたらこうできるかな」と話をしたりして、いろんな経験を積み重ねて学びながら保育士は育っていきます。それが地域の財産になります。そう思って私たちも働き続けたい。「働き続けることが地域の財産になり、子どもたちのため、保護者のためにもなる」と思っています。そういう「安心して働き続けられる環境」がなければ保育士不足が加速します。「保育士のために給料を上げてくれ」ということではなく、「市民の施設として、地域の財産として、そうなるのが京都市にとって良いことだ」ということを、みんなで共有したいなと思います。また、行政にも、そのような理念を持ってくださっているとは思いますが、それを表現していただきたいなと思っています。



ちょっと話は戻りますが、「子育て環境日本一」という言葉のもと、京都市の独自の支えもあって、今まで長い歴史の中で積み重ねてきたプール制。それを土台に、現場では、一定の先行きを見据えながら、正規職員を増やしたり、サービス残業をなくしたり、「働き方改革」という言葉もある中で、職員処遇の向上をしてきました。ところが、昨年4月の制度改定で、園によって影響は様々ですが、うちの園ではそれがとてもできにくくなりました。先ほど「京都市は子育て世代の流出が日本一」という話がありましたが、これは今までの政策の一つの結果として僕らは受け止めなければならないと思いますし、やっぱり、京都市がいましていることに対しては、いまの国の情勢の流れからしても「逆行」という言葉が出てきます。


最初の言葉に戻りますが、「"市民の財産としての保育施設"を、これからの京都市、子どもたち、未来の世代に、京都市としてどういうふうに残していくのか」ということを、よく考え合いたいと思います。本当に拙速にこの制度改革が進んできた中で、もっと議論を重ねなければならないと思います。「国基準より上だから良い」というのではなく、「行政として、京都市として、どういう子育て政策をもってやっていくのか」ということで、いろんな話を一緒にしたいです。そして、いまコロナでどこの業種も大変なことは理解しますが、「子育て環境日本一」という言葉が本当に活かされるように、保護者の方の理解、現場の理解、全体の理解を得ながら、「子どもや子育てを大切にするということがどういうことか」について、子育て世代だけでなくてみんなで考えていかなければならないと強く思っています。


「子育て世代だけでなく、みんなで、子どもたちの育ちを喜び合える」、そんな京都市をこれからも作っていきたいなと思いますので、皆さんと色々お話をしていけたらなと思っております。



 
 
 

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